大阪府の役所には、たくさんの書類(=公文書)があります。 書類には「何年間とっておく」という期限が決まっていて、その期限が切れると、ふつうは捨てられます。
でも、全部を捨ててしまうと困ります。 その中には「これは歴史の記録として残しておくべきだ」というものが混ざっているからです。
しかも、この1,116個は、かたまって置かれているわけではありません。 体育館じゅうにばらばらに散らばっています。だから全部の箱を開けて確かめるしかない、というのが今のやり方です。
| まちがい方 | どうなるか |
|---|---|
| 残すべきものを、捨ててしまった | 二度と戻らない。取り返しがつかない |
| 捨てていいものを、残してしまった | 職員の方が見て、あとで外せばいい |
AIが見られるのは、箱の外に書いてある情報だけです。 書類の名前、担当の課の名前、分類の記号、何年の書類か——このくらい。 箱を開けて中身を読むことはできません。
だから、外から見るとまったく同じなのに、片方は残す・片方は捨てるという箱が出てきます。 こうなると、どんなに賢いAIでも見分けられません。いま、そういう箱が66個あります。
| いつ | やったこと | 見つかった数 (1,116個中) |
|---|---|---|
| 9月9日 1回目 |
役所の決まり(残す基準19項目)と照らし合わせる仕組みを作った。 さらに「分類の記号」ごとに、これまで何個残されてきたかを手がかりに足した | 538個 |
| 9月17日 報告会 |
「過去に同じ名前の書類が残されていたか」を手がかりに足した。 去年「◯◯計画 資料」が残されたなら、今年の同じ名前も残される、という考え方 | 742個 |
| 10月1日 2回目 |
「課の名前が変わっているか」を手がかりに足した。くわしくは下 | 785個 |
| 10月13日 3回目 |
数え方そのものを変えた(第4章) | — |
※「見つかった数」= AIがあやしい順に並べて、上から3,000個(全体の5%弱)見たときに見つかる数
書類には「いま持っている課」と「もともと作った課」が書いてあります。 この2つが違うとき、最初は「課が変わった」とひとまとめにしていました。
ところが数えてみると、まったく性質の違う2種類が混ざっていました。
| どんな変わり方か | 残された割合 |
|---|---|
| 名前が変わっただけ(例:A課 → B課に改称) | 0% 1個も残っていない |
| 仕事そのものが引っ越した(例:ある仕事がC課からD課へ) | 約19% 平均の10倍以上 |
つまり「仕事が引っ越した書類」だけが大事なサインでした。 ひとまとめにしていたせいで、この2つが打ち消し合っていたのです。分けたら精度が上がりました。
大阪府の方から、こう言われていました。
1つずつ順番に並べるやり方では、これに届きませんでした。 全部を見つけようとすると、結局93%(約6万個)を見ることになるからです。ほとんど減りません。
似ている箱どうしを、ひもで縛って「束」にします。 縛る基準は 「同じ課」「同じ分類の記号」「同じ保存年数」 の3つです。
見ないわけではありません。束ごと、まとめて確認します。
たとえば「人事課の出勤簿」が214個まとまった束があります。 中身は全部同じ形です。これを1個ずつ214回チェックする必要はありません。束ごと1回で済みます。
| いまのやり方 | 束でやる場合 | |
|---|---|---|
| 1個ずつ中を見る | 64,454個 | 約5,000〜12,700個 |
| 束ごとまとめて確認 | — | 12,064回 |
| 画面をさわる回数 | 64,454回 | 約17,000回(4分の1) |
| 全部に目が通るか | 通る | 通る |
| 役目 | どういうことか |
|---|---|
| ① 見る順番を 決める |
全部見るのは変わりません。順番だけ変えます。 いちばんあやしい300個を先に見ると、そのうち85%が当たりです(ふつうに並べると1.7%)。 948個目で、残すべき箱の半分に届きます。 |
| ② 人の判断を 二重に確かめる |
職員の方が「捨てる」と決めたものの中で、AIが強く「残すべき」と言っているものだけを、 もう一度見るリストにします。この使い方は、見落としを減らす方にしか働きません。 |
| ③ 理由が 残る |
なぜその箱を上に置いたのか(分類記号・保存年数・課の実績・名前の言葉)を 1個ずつ記録できます。あとから説明を求められたときに答えられます。 |
これまでの反省から、言い方のルールを決めました。資料を書くときは必ずこれに合わせてください。
| 使わない | 使う |
|---|---|
| 1,095件を主語にする | 1,116件(大阪府が数えた数)。1,095は「そのうち一覧の中にある数」として注記だけ |
| 「回収」(大阪府から使うなと指摘あり) 「出会える」(こちらが勝手に選んだ言い換え。合意なし) |
「見つかる」、または件数でそのまま言う |
| 「上限94.3%」 | 「外から見分けられない箱が66個」(割合ではなく個数で) |
| 「正答率◯%」 | 使わない。全部「捨てる」と答えるだけで98.3%になるので、意味のない数字です |